HOPE計画創設25周年記念
地域住宅計画全国シンポジウム2008 京都大会


本能学区、明倫学区エリア

【まちの特徴】
 本能学区 (元学区※)は、和装産業に関わる職人が多く居住し、都心部で今なお着物の産地として息づく地域です。しかし、和装産業の構造的な低迷により、地域の経済力が低下し、京染の工場がなくなった跡地にマンションが建設されるなど、まちの変容が急激に進んでいます。このような中、平成11年に「本能まちづくり委員会」が立ち上がり、「住みたいまち・育てたいまち・働きたいまち・本能」をキャッチフレーズに、活発な活動が展開されています。
 明倫学区 (元学区※)は、祇園祭に多くの山や鉾を出す地域であり、近世以来の自治の気風、和装などの商いや伝統的なまちなみを伝える地域です。一方、鳥丸通は銀行や企業の本社・支社が多く立地する京都を代表するメインストリートとなっています。明倫学区においても「明倫まちづくり委員会」を中心に、「祇園祭を受け継ぐ風格のあるまち、商いと暮らしが響き合うまち明倫」を合言典に、新たなまちづくりが進められています。
 ※「元学区」とは、明治時代の番組制度から派生している京都の住民自治組織の単位です。江戸時代に町組として存在していたものを、明治維新後に京都府が「番組」として上京・下京それぞれ33組に組み換え、町会所に併設する形で小学校の設立が決定され、「番組小学校」と呼ばれるようになりました。現作は小学校も統廃合が進み、学区城も変わってきているため、「元学区」と呼ばれていすが、自治連合会や体育振興会、社会福祉協議会、自主防災組織、あるいは国勢調査の集計の単位として現在も用いられています。

●本能ギャラリー
 平成 17年本能小学校跡地に地域コミュニティーを再生する拠点として建設されました。本能学区民のため設置されたもので「本ものに出会える日」などのイベント利用や伝統工芸品などの展示に活用されています。跡地にはその他に、福祉施設、教育施設、地域自治施設が建設されており三位一体となって地域活動の中核としての役割を担っています。


●京都芸術センター
 京都における芸術振興の拠点施設として、平成12年に開設されました。建物は、平成 5年に小学校の統廃合のため閉校となった元明倫小学校です。昭和 6年に改築された元明倫小学校の歴史や建物の外観、大広間、講堂、和室などの文化財的価値に着目し、自由な芸術活動を行えるよう配慮しつつ、既存の施設をできる限り生かした改修が行われています。

●無名舎 (吉田家住宅)
 京商家の典型ともいうべき表屋造り。店舗、住居、土蔵とそれらを結ぶ 2つの庭と、通り庭から成っています。明治 42年建設。京都市より平成11年に歴史的意匠建造物、平成18年に景観重要建造物に指定されています。

●くろちく百千足館
 本店の真向かいに同じ建築方法で昔ながらの町家を再現しています。「表屋」 →「中庭」→「母屋」→「奥庭」→「土蔵」を路地で連結するという構成を、店舗・能舞台・レストラン・住居の複合建築の中に再現しています。伝統的意匠を生かし、また古材を用いるなど、積極的に京都都心部のビルのあり方を提示しています。

●野口家
 代々呉服商を営んできた旧家です。現在の主屋は、元治元年の大火後に再建されたもので、店舗棟と奥の居住棟を玄関棟で接続した表屋造りの形式となっています。主屋の表構えは、店舗棟の北側に高塀を接続させた構成です。内部では特に座敷が注目されています。京町家の典型例の一つとして貴重で、昭和 58年京都市指定有形文化財に指定されています。(文化財保護課所管)