HOPE計画創設25周年記念
地域住宅計画全国シンポジウム2008 京都大会


第三回 地域住宅計画賞 講評

HOPEも、はや25周年を迎えることとなりました。25年の時の流れに四半世紀という言葉もございますが、非常に長いものであります。0歳の赤子が25年経てば、立派な成人になります。25歳の成人が25年も経てば、50歳。世の中を背負って立つ年代になります。50の人が25年経てば、75。いわゆる老境の年齢になります。25年と申しますと、人類においては、一つの世代を表す長さかもしれません。HOPEもいよいよ子供の時代から、大人の時代へ入ったのだというふうに認識しております。すなわち、HOPEも世の中の機軸になったのだというふうに考えております。

 ここ京都は千年の都であります。千年以上続いた都市と申しますと、世界でもそれ程多くはありません。千年以上も続く為には、そこに人々の生活が長く継続していくことが必要であります。その永遠に続けられる生活のシステムこそが千年の流れを支えているわけであります。

 ところで住宅、住まいはどこかの工場でぽーんと出来て買うというようなものではありません。実は、我が国におきましては、木や紙、あるいは土、石といったものをそれぞれの地域の人々が自らの手で加工し、それを組み立てて作ってまいります。それが生業であります。また、その生業があってこそ人々の生活があるわけであります。実は先日、巽先生が「岩田君、京都っていうのは、都市なんだけど、実は大きな田舎町なんだよ。」というふうにおっしゃっておりました。その意味は、京都は大都市なんでありますが、実は様々な手工業、産業といったものが集積した町であります。先程申しました住まいは、様々な部品作りがこの京都の町の中で日々行われております。これは伝統産業でもありますが、現在に繋がる産業でもあります。また、この住宅産業と申しますのは、非常に我が国の産業界の中で、あるいは世界の産業界の中でも大きなウェイトを占めるものであります。すなわち、この生業こそが、あるいはすまいづくりに関わる様々な産業が大都市を支えていっているのであります。これこそが、25年間HOPEが目指してきた目標であるというふうに考えております。

そこで、全国の皆さんの活動の頂点に立つ地域住宅計画賞の活動部門は、先程のように「公益發露」とさせていただきました。すなわち、それぞれの地域の人々が、それぞれの地域のために、あるいはその地域を支えるために働き、新しいすまいを作り、町を作っていく、その気持ちを表したものであります。この活動部門に選ばれました江津市でありますが、昭和58年の一番初めのHOPE策定の仲間であります。それ以来25年、石州瓦というのを基軸にその地域の産業を興すことを目指し、長年にわたって活動を続けられてまいりました。まさに、地域住宅計画の真髄であるというふうに感じます。また、埼玉の木の銀行もこの目的に照らしますと、非常に立派な活動であるというふうに考えられます。ただ、残念ながらですね、江津市のほうは審査委員会の先生方の満票を得たのですけども、1票足りませんでした。ということで、何も無いというのはちょっと残念だなということで、審査委員会特別賞ということで表彰状には「地産公益」という言葉をもって賞状を作ったわけであります。

 次にすまいづくり部門でありますが、あの中越地震で有名になりました旧山古志村の山古志地域の復興住宅であります。これは、地域の人々とともに専門家や市役所あるいは産業界の人々が一緒になりまして、山古志の風景に合った、まさに素朴なすまいづくりを実現されたものであると考えております。また、豪雪地域というものの気候特性を十分に考慮されておりまして、さらにその気候風土だけではなくて、先程申し上げましたが、美しいという景観を形成できるすまい、すなわち作品というものの完成度をみせているというふうに考えました。従いまして、表彰状には文学や美術作品にほめ言葉として贈られる「英華發外」という言葉をおくらさせていただきました。

 まちづくり部門は、つるぎ山の入り口にあります貞光の町並みの整備であります。うだつに固定の美しい町並みが続いた町でありまして、この建物ひとつひとつ丁寧に修景し、修復し、伝統を伝え、また様式技術を伝え、正にその技術をもってひとつの風景をつくろうとしたものであります。そこで美しい景観を称えまして、表彰状は爽やかに「風姿颯爽」という言葉でおくらさせていただきました。

 また、25周年の大会にあたり、また千年の都の京都大会ということもありまして、皆様の長年の努力に敬意を表しまして、昔のHOPE計画の策定市町村のうち、現在も、当推進協議会を支え続けていただいております市町村の方々に25周年記念表彰をさせていただきました。皆さんの活躍はまさにHOPEの礎であるというふうに思っております。さらに渡邉先生をはじめといたしまして、三顧問の先生方には、常日頃からこのHOPEの活動に対しまして絶大なるご協力をいただいております。簡単に三顧問の先生と申し上げましたが、実はそれぞれの先生方が、一つの財団を背負ってたてるほどの有名な先生方であります。そういう意味で、当推進協議会は非常に恵まれた存在であるというふうに思います。

また、HOPE発足以来ずっと100年まちづくり運動を続けてこられました金山町の前松田町長におかれましては、実は長年に渡って副会長をお願いしてまいりました。また、一番初めのHOPE計画からずっと携わっておられる方は、多々おられるとは思うのですが、特に松田町長におかれましては副会長職をはじめ、様々な推進協議会の活動を支えていただきました。残念ながら、先日退任なされましたけれども、その功労を表しまして三顧問の先生とともに25周年記念功労賞を贈ることとさせていただきました。この方々は、まさにHOPEの「基もとい」であります。

 先程、表彰状を授与いたしましたけれども、実は司会のほうから紹介がありましたように、金山杉を使い、有田焼のペンダントが付き、八尾の和紙で、手隙和紙です。それに三春の内藤さんが、てずからかいた書でできた書であります。実はですね、今年ですね、去年まではすまいづくり賞は「技量抜群」、まちづくり賞は「海内無双」、活動部門賞は「天下一」という言葉を使っておりましたが、実は一番初めにその表彰状を企画した時の大阪をかなり意識して書いた言葉であります。ただ今回、この雅な京都でございますので言葉をですね、ちょっと変えさせていただきました。で、その言葉の選定にあたりましては、顧問の渡邉先生にご苦労をいただきました。その四つの言葉は渡邉先生の発案であります。また、25周年ですので、その主題の題字だけは渡邉先生に書いていただきました。ということで、25年に一度の貴重な賞でございますので、是非大事にしてください。25年には、私は渡邉先生と同い年になります今の。渡邉先生はその時に100歳になります。また、その時には先生、50周年の時の題字も宜しくお願いします。

 この表彰状ですが、今申し上げましたように様々な材料、あるいは様々な技術、様々な人々によって出来ております。これこそがHOPEのコラボレーションであり、この地域住宅計画の目指すものそのものであるというふうに思っております。 

 さて、我が国は少子高齢化社会へ突入したといわれてかなり時間が経ちます。またいよいよ人口減少社会へと突入いたしました。全国の多くの公共団体で人口減少に伴う例えば空地・空家といった数々の新しい問題が生じてきております。さらに地球環境を考えますと、既存住宅の有効活用というのは、大きな社会問題となっております。これら空地・空家のストックをどうするのかもこの地域住宅計画の大きなテーマの一つであるというふうに考えております。そこでこの京都大会では、地域を支える産業のあり方と空地・空家問題を含めた不動産流通等の問題について考えてまいりたいと考えております。これらのシステムをきちんとしてこそ千年続く地域を運営できるというふうに考えております。この永遠の都エターナルシティ京都で、皆さんこの継続の秘訣をたくさん学んでいただいて、また大いに議論していただいて帰っていただければと思います。

ありがとうございました。